卵巣腫瘍, 治療分野

【治療分野】卵巣腫瘍

◇ 卵巣腫瘍

・卵巣腫瘍にはいろいろな種類があります。
・卵巣腫瘍は、ねじれたり破裂したりして痛みがでる場合を除いて、かなり大きくなるまで早期発見が困難な病気です。
・卵巣癌は、ごく早期の場合を除いて、非常に悪い病気です。
・卵巣腫瘍は、一見良性にみえても悪性の場合があるため、いくつかの例外を除いて手術治療が勧められます。

● 卵巣腫瘍の診断・治療の手順(目安)

問診:下腹部痛、腹部腫瘤感、腹部膨満などの有無
腹部の触診、腹部超音波断層法
内診、経腟的超音波断層法
腫瘍マーカー検査(血液検査です)
 ↓
良性→直径6cm以下の場合→ 3~6カ月ごとに経過観察
  →直径7cm以上の場合→ 手術
悪性の疑い→ CTやMRI検査、胃内視鏡→手術

(上記で良性と判断され経過観察されるのは、おおむね以下の場合です)
1.腫瘍が明らかに単純な嚢胞である
2.諸検査上、子宮内膜症によるチョコレート嚢腫であると考えられる
3.皮様嚢腫というタイプの腫瘍が考えられる
 (2.や3.のタイプは非常に稀に悪性の場合があります。)

直径6cm以下の良性腫瘍であると判断されても、以下の場合は手術が必要です。
・卵巣腫瘍が捻転して痛みがある場合
・子宮内膜症によるもので、不妊症治療目的に手術が必要な場合

◇ 卵巣嚢(のう)腫

卵巣腫瘍の中でも、腫瘍が単純な袋状にみえるものを総称して卵巣のう腫といいます。
卵巣のう腫にはいろいろなタイプがあり、大きさもピンポン玉大の小さなものからグレープフルーツ大以上のものまでさまざまです。
ほとんどの卵巣のう腫は小さくて症状もありませんが、大きくなって捻れたり、出血したり、破裂したりした場合に下腹部痛が生じることがあります。
また、ほとんどの卵巣のう腫は良性ですが、ごくまれに悪性(卵巣癌)であることがあります。
そのため卵巣のう腫がみつかった場合には、まず悪いものではないかどうか、治療が必要なものであるかどうかなどをチェックする必要があります。

● 主な卵巣のう腫の種類

A.機能性のう腫
一時的に大きくなって自然に消えてなくなるタイプの嚢腫です。誰でも排卵日頃には卵胞という卵子を入れる袋が大きくなります。まれに、卵胞が大きくなっても卵子が飛び出ずに排卵が起こらないことがあります。大きくなった卵胞がしばらく残っている状態が機能性のう腫です。一見しただけでは機能性のう腫と単純性のう腫との区別はつきませんが、機能性のう腫なら普通は次の月経の頃には小さくなります。消失が遅れる場合も1~3カ月以内には消えてなくなります。

B.単純性のう腫
若い女性に非常によく見られる良性の卵巣腫瘍です。丸い袋のように見える腫瘍で、内部には隔壁や腫瘍の固まりが全くなく水だけです。直径5~6cm位までの小さなもので症状がなければ経過観察をするだけでも構いません。このタイプののう腫は手術をせずに経過観察をすることが最も多い腫瘍です。単純性のう腫のように見えても非常にまれに悪性部分が隠れている場合があるので定期的な検査は必ず必要です。

C.皮様のう腫
これも良性の腫瘍で癌ではありませんが、内部に油、毛髪、骨、歯などができる腫瘍です。小さいものなら無症状ですが大きくなると下腹部痛や不快感などが生じます。普通は次第に大きくなるので経過観察をしたとしても最終的に手術が必要になることが多い腫瘍です。若い女性に多い腫瘍で、癌ではないのですが左右の卵巣に出来たり、再発することがよくあります。若い女性にはめったにありませんが、皮様のう腫の一部が癌化するということもあるので手術しない場合でも定期的な検診は必ず必要です。

D. 子宮内膜症性のう腫
子宮内膜症が原因で卵巣にできるのう腫です。子宮内膜症というのは、子宮の内膜が子宮の内側以外の部分にできてしまう病気です。卵巣に子宮内膜症ができると月経のたびに卵巣の中でも出血が起こります。そのため卵巣の中にドロドロの茶褐色の血液がたまるので別名チョコレートのう腫(のう胞)とも呼ばれています。月経は毎月起こるのでチョコレートのう腫も少しずつ大きくなります。大きくなったのう腫によって下腹痛、特に性交時の下腹痛や月経時の下腹痛が起こります。

● 主な卵巣のう腫の症状

機能性ののう腫や良性の腫瘍があっても無症状のことが多いので、卵巣のう腫は産婦人科の受診の際に偶然にみつかることがほとんどです。
のう腫が非常に大きくなった場合には圧迫されておなかが痛くなったり膀胱が押されてトイレが近くなったりすることがありますが、まれです。
卵巣のう腫が原因で性交時におなかが痛くなることもありますが、これもまれです。
卵巣のう腫の症状として最も注意すべき症状は急激な下腹部痛です。ある程度大きくなったのう腫が捻れた場合に、突然、激しい下腹部痛や吐き気に襲われます。
のう腫が捻れると卵巣の血流が途絶えるので、短時間の内に卵巣が壊死(腐ること)してしまいます。卵巣腫瘍の捻転が疑われる場合には必ず手術をします。

● 主な卵巣のう腫の診断法

卵巣のう腫は産婦人科の通常検査である内診や超音波検査などによって見つかります。
詳しく超音波検査をすることによって、腫瘍の種類についてかなりのことがわかります。
少しでも悪性腫瘍の疑いがある場合には、血液をとってCA125などいくつかの腫瘍マーカーの値を測定します。
ただし、腫瘍マーカーが高くならない卵巣癌がありますし、逆に、卵巣癌でなくてもCA125などが高くなる場合もあります。
内診や超音波検査と血液検査だけでは良性か悪性かの判定が難しい場合、さらにCTやMRI検査を行います。
全く良性腫瘍とは言い切れない場合がよくあります。
その場合には手術療法を行い、取り去った部分の病理組織検査を行って最終的に診断がつきます。

● 卵巣腫瘍または、のう腫と言われた場合に主治医に尋ねておくべきことは?

American Medical Association (AMA)というところが推奨している医師に対する質問事項を列挙します。
セカンドオピニオンを得るために他院を受診する場合などの参考にして下さい。

1.腫瘍の大きさと位置
2.早急に腫瘍を摘出する必要があるのか、1~2ヵ月経過観察してもよいのか。
3.手術した場合には腫瘍以外にどれくらい卵巣の正常部分を取り去るのか、またその場合は将来の妊娠にどの程度影響するのか。

手術後には以下のことを確認して下さい。
1.摘出した腫瘍の病理診断名
2.腫瘍が再発する可能性はどの程度あるのか


レディースクリニックつねざわ【福井市・福井駅東】産婦人科

LCつねざわHP_記事下バナー680px