医療相談

遺伝相談

◇ 遺伝相談について

当院では簡単な遺伝相談に応じます。
遺伝相談では、下記のような事柄を取り扱います。

1. ご親戚に遺伝病が疑われる方がおられる方に対して
a. ご相談者に遺伝病の素因があるかどうか(保因者であるかどうか)の判定
b. ご相談者が保因者である場合、ご相談者のお子さんやごきょうだい等が病気になる危険性やその予防対策

2. ご相談者自身が生まれつきの病気の場合
a. ご相談者の病気の遺伝性の有無の判定
b. ご相談者のお子さんが同じ病気にかかる危険性の判定

3. 近親婚に関わる問題

4. 妊娠中の健康管理に関するご相談

5. 妊娠中に胎児に悪影響を及ぼす出来事があった場合(感染、放射線被曝、薬品服用など)のご相談

6. 流産を繰り返す方や不妊症の方に対するご相談

上記1、2に該当する相談例は非常に稀です。おそらく最初から大学病院や専門施設を受診されるからだと思います。
病名と近縁者の病気の有無などがわかっていればかなり正確な回答ができます。
病名が不明な場合は近縁の家系図が書けるほどの情報、その中でどなたが生まれつきの病気があったのかなど、
非常に詳細な情報収集が必要になります。

◆ 過去の相談例をご紹介します。

遺伝相談の専門知識が必要とされるような高度な相談はめったにありません。
ほとんどが近親婚(特にいとこ結婚)、ダウン症、妊娠中の胎児が正常かどうかの心配、妊娠初期の薬の影響、
妊娠と知らずに受けたレントゲン検査の影響など、一般産婦人科で対応できる相談です。

● 近親婚(いとこ結婚など)

いとこ結婚をすると子供が産めないのですか?

Q.私は今、いとこと付き合っていて将来結婚したいと思っています。でも、友人などから血が濃すぎて子供を産めないのでは?と言われています。やっぱり無理でしょうか?

A.医学的には近親婚といいます。近親婚の場合、遺伝病の子供がうまれる危険性が高くなります。常染色体劣性遺伝病が問題になるのでこの話をします。子供が両親から病気になる遺伝子を同時に受け継いで起こる遺伝病を常染色体劣性遺伝病といいます。いろいろな病気がありますがどれも非常にめずらしいものです。たとえば4万人に1人の確率で起こるある常染色体劣性遺伝病を考えてみます。誰でも100人に1人はこの病気の遺伝子をもっていますが、夫婦そろってこの遺伝子をもつ確率は(100分の1)×(100分の1)=1万分の1で、その夫婦からこの病気の子供が産まれる確率は4万分の1になります。いとこ結婚の場合は、あなたがこの病気の遺伝子をもつ確率は一般と同じ100分の1ですが、相手の方が同じ遺伝子をもつ確率は8分の1になり結局この病気の子供が産まれる確率は(100分の1)×(8分の1)×(4分の1)=3,200分の1になります。
1万人に1人の病気がいとこ結婚では1,500人に1人、10万人に1人の病気が5,000人に1人、100万人に1人の病気が1万5,000人に1人位うまれると考えて下さい。めずらしい遺伝病ほどご両親がいとこ結婚の場合が多いのです。いとこ結婚だからといっても遺伝病の子供がうまれる可能性はやはり低いのでほとんどの方は問題ありませんが、こういうことを理解した上で結婚を考えて下さい。何代も前や遠縁でも家系の中に遺伝病の方がおられる場合は、遺伝病の専門医に相談して下さい。

いとこ結婚したのですが、子供が障害を持ってうまれる確率は、
一般婚といとこ婚であまり変わらないと聞いたのですが本当ですか?

Q.いとこ結婚したのですが、生まれてくる子供が心配です。聞いたところによると、障害を持ってうまれる確率は、一般婚だと1.02%、いとこ婚で1.69% あまり変わらないときいたのですが、本当でしょうか? 着床前診断とはどういうものですか?

A.誰でも異常な遺伝子を8つほど持っているのですが、いとこ結婚などの近親婚では異常遺伝子を共有している確率が高くなるので、非常にまれな病気の子供が生まれる確率が非常に高くなります。「一般婚だと1.02%、いとこ婚で1.69%」という数字は本当で、この数字は遺伝学的には、いとこ結婚のほうが約70%も危険が高くなるということを示します。あなたがあまり変わらないという印象をもたれたように、数字自体が小さいので実際上はあまり変わらないとも言えます。家系内に先天性の病気の人がいるという場合を除いて着床前診断を行っても病気を発見することは通常不可能なので行う意味がありません(家系内に原因遺伝子の判明している病気の人がいる場合には、DNA検査が可能な場合があります)。

二重いとこの結婚は止めた方がよいのでしょうか?

Q.いとこ同士の結婚で悩んでいます。

二重いとこ婚

上図のように、父親同士、母親同士がきょうだいで、二重いとこです。普通のいとこより血が濃いです。普通のいとこなら、余り良いとはいえないようですが、確率的には深刻になるほどではないという話も聞くのですが、私の場合は、絶対に止めておいたほうが良いというレベルなのでしょうか。血の濃さもありますが、年齢の方にも問題があるとも思います。出産経験はありません。

A.わが国の法律では、三親等(遺伝学的には第二度近縁)以内の血族との結婚は許されていないので、いとこ結婚が最も血縁の濃い、また一般的な近親結婚です。遺伝学では近縁の程度を近交係数(f)という数字であらわしますが(説明は省略します)、一般のいとこ結婚の近交係数(f)は1/16です。血縁が濃いほどfの値は大きく、薄いほど小さくなります。法の精神から言えば、fの値が1/16をこえるくらいに濃い血縁の結婚は禁じられているということになります。ところで、二重いとこ結婚の場合、fの値は1/8となり、これはおじ・姪結婚と同じ血縁の濃さです。本論に入ります。たとえば、4万人に1人の割合で生まれるまれな常染色体劣性遺伝病について考えます。他人結婚ならば相手が偶然にこの病気の保因者である確率は1/100、いとこ結婚で1/8、二重いとこで1/4です。途中の計算方法は省きますが、他人結婚なら4万人に1人の割合で生まれる病気が、いとこ結婚なら3,200人に1人、二重いとこ結婚なら1,600人に1人になります。
常染色体劣性遺伝病はたくさんありますが、具体的に例をあげますと、先天聾(保因者頻度は1/54。一般集団の中で54人に1人がこの劣性遺伝子をもっているということです)は他人結婚で1/11,800、いとこ結婚で1/1,500、二重いとこで1/750。全身白皮症(保因者頻度1/100)は他人結婚で1/40,000、いとこ結婚で1/3,000、二重いとこで1/1,500。全色盲(保因者1/135)は他人結婚で1/73,000、二重いとこ1/2,000、非常にまれな重症先天性魚鱗癬(保因者1/500)は他人結婚で1/1,000,000、二重いとこで1/8,000という風になります。まれな病気ほどいとこ結婚で生まれやすいということがおわかりいただけると思います。誰でも劣性遺伝子を8つほどもっています。たとえ8つもっていても他人なら共通するものが一つでもある可能性は非常に低いのですが(劣性遺伝子の種類が非常に多いので)、近親者だと高い確率で共通するということです。ですから、家系内に先天性の大きな病気の人がいなくても、近親婚によって病気があらわれる可能性は高くなります。
結局、4万人に1人の病気が1,500人に1人の割合になるということは、二重いとこ結婚によってその病気の危険性が27倍くらいに高くなるということですが、27倍になるから心配だと考えるか、1,500人に1人ならさほど心配ないと考えるかという問題に帰結します。

いとこ結婚なのですが、羊水検査をすすめられました。

Q.いとこ結婚なので子供に異常がでるのが心配なことを病院で話したら、羊水検査をすすめられました。これってどこまでわかるんですか?
A.羊水検査ではいろいろなことがわかりますが、普通は染色体の検査をします。染色体の検査で奇形の原因になる染色体の異常があるかどうかがわかりますが、染色体の異常がない奇形の場合は検査をしてもわかりません。また、いとこ結婚の場合非常にめずらしい遺伝病の子供がうまれる場合がありますが、染色体検査だけでは遺伝病かどうかはわかりません。夫婦どちらかの家系に、遠縁でも遺伝病の方がおられた場合はその病気が起こる確率が高くなります。遺伝病の家系の場合は特別な遺伝子診断を行うことになります。いとこ結婚だからという理由で羊水検査を予定されているのならあまり意味がないのではないかと思います。

● ダウン症の心配

30歳を過ぎて妊娠するとダウン症の子供が生まれる確率が高いのですか?

Q.30才を過ぎて子供を産むとダウン症の生まれる確率が高くなると聞きました。そうならない為にはどうしたらよいのでしょうか?また、妊娠してから検査することは出来ますか?

A.お母さんに全く異常なくても、お母さんの年齢が高くなるとダウン症の赤ちゃんがうまれる可能性が高くなります。ダウン症は染色体の異常によって起こる病気ですが、お母さんが高齢になると受精の段階で染色体に異常が起こりやすくなるためです。20歳の人でも1,600人に1人の確率でダウン症の赤ちゃんがうまれます。30歳の人だと約1,000人に1人、34歳で500人に1人、38歳で170人に1人、40歳で100人に1人の確率でダウン症の赤ちゃんがうまれます。予防法はありません。最近は、妊娠11~13週に胎児の首の後ろのリンパ液貯留部分の厚さを測ってダウン症のスクリーニング検査を行います。妊娠15~18週位におなかに針をさして羊水をとる羊水検査をすると赤ちゃんの染色体を調べてダウン症かどうかを調べることができます。羊水検査は安全な検査ですが、ごくまれに(0.2%以下)検査後に流産することがあります。

妊娠5週目では子宮の中の受精卵はどのようになっているのですか?

Q.例えば妊娠5週目では子宮の中の受精卵はどのようになっているのですか?教えてください。

A.妊娠5週になると受精卵と呼ぶ時期をすぎて胎児の原型ができています。妊娠5週では胎児の原型は顕微鏡で観察するほどの大きさで、やっと神経の元ができ初めて、全体が楕円形の塊といった形です。まだ心臓の原型もできていません。これからどんどんヒトの形になっていく大切な時期なので薬をのんだり放射線をたくさん浴びるといけない時期です。

妊娠中に胎児の血液型を調べることができますか?

Q.妊娠中、胎児の血液型を調べることってできるのですか?

A.一般の方が胎児の血液型を調べる検査を受けることはできません。血友病のおそれがあるなど胎児の性別によって病気の有無がわかるような特別な方の場合のみ例外的に検査を行います。

流産しかけた赤ちゃんは奇形になりやすいのですか?

Q.流産しかけた、赤ちゃんは、奇形児になると聞いたのですが、どのくらいの確率で、そうなってしまうのでしょうか?

A.そもそも流産というのは産まれても生き延びることができないような異常が胎児にある場合に起こることがほとんどです。そのため非常に流産しそうになった場合にも胎児奇形の赤ちゃんがうまれることがやや多くなるといわれています。実際には流産しかけても胎児奇形がみつかることはほとんどありませんので流産しなければあまり心配される必要はないでしょう。

胎児に奇形などの異常があるかどうかわかりますか?

Q.胎児に異常があった場合(例えば奇形とか)お腹にいる時点で分かったりしますか?可能なら何週目位からわかるんですか?教えて下さーい。

A.非常に大きな奇形がある場合、つまり生存できない位の奇形がある場合は妊娠10週前にもわかることがあります。胎児の異常を専門にみる先生にみてもらえば妊娠15~25週の間の超音波検査でかなりの異常をみつけることができます。生まれてすぐに手術が必要な心臓の奇形があるかどうかもわかります。

排卵日頃にかぜをひいていて妊娠した場合赤ちゃんに影響はありますか?

Q.私は妊娠を望んでおりこの前が排卵日近くだったのでセックスしました。でも昨日から風邪をひいてしまい熱が39度も出てしまいました。薬は飲まないようにして今は36.8まで下がりました。もし妊娠していた場合この熱は赤ちゃんには影響はあるでしょうか?心配です。宜しくお願いします。

A.排卵日に1~2日発熱しても心配いりません。万が一受精卵の段階でかぜのウイルスが影響した場合には、妊娠しない、あるいは妊娠した場合に流産の可能性が少し高まるという可能性はあります。しかし、かぜのウイルスの影響で流産率が少し高くなることはあっても、流産を免れれば胎児に奇形などの大きな異常が起こるということはありません。


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