◇ 子宮筋腫
当院では、できるだけ手術をしたくないかたのご要望にお応えいたします。
しかし、重症のかたには手術をお勧めしますので、あまり無理されないようにお願いいたします。
子宮筋腫とは:専門的にいうと繊維腫と呼ばれる良性腫瘍です。原因は不明です。
白くて硬いコブが子宮のあらゆる場所にできます。
大きさは1cm足らずのものから赤ん坊の頭位までさまざまで、数も一個しかない場合から数十個あるものまであります。
症状:最も多い症状は、月経が多いことによる貧血です。
貧血が徐々に進行すると知らないうちに心臓に負担がかかるほどの貧血になっている場合があります。
また、大きくなった子宮が膀胱や腸を圧迫するために頻尿や便秘になったり、筋腫の部分が痛くなったり、
月経痛が強くなったりすることもあります。若いかたに筋腫ができた場合は、不妊症や流産の原因になることもあります。
● 子宮筋腫があるといわれた場合
a.症状はありますか?:よほど大きなコブができていない限り、症状がなければ急いで治療する必要がないことがほとんどです。ただし、無症状でも貧血が強い場合は治療が必要です。
b.筋腫はどこにできているといわれましたか?:かなり大きなコブでも子宮の外に向かって大きくなる筋腫の場合は症状が出にくいので治療が不要な場合があります。逆に小さくても子宮の内側、特に粘膜に飛び出てくるタイプは月経が多くなるので、早めの治療が必要になります。
c.現在の年齢は?:筋腫の発育速度には個人差がありますが、平均閉経年齢である50歳に近いならば、手術をせずに様子をみるか、薬物で一時的に筋腫を小さくするという方法もあります。一方、今後子供を生む予定の年齢ならば、妊娠前に年に数回産婦人科を受診して下さい。妊娠前に筋腫のコブだけをとる手術が必要な方がいらっしゃいます。また、まだ年齢が若いのに筋腫がかなり大きく、その発育速度も大きいといわれたのなら、早めに手術を受けるのがよいでしょう。
治療
薬物療法と手術療法があります。貧血がある場合はまず貧血の治療を行います。
a.薬物療法
・貧血にならないように月経量を少なくしたい場合。
・そろそろ閉経のかたで、子宮筋腫が巨大でない場合。閉経までの「逃げ切り療法」
・一時的に筋腫を小さくしておなかを切らずに手術する場合。
b.いろいろな手術療法
・開腹による子宮摘出:子宮が非常に大きい場合
・開腹しない腟式の子宮摘出:子宮が握りこぶし程度の場合に行うことが多いですが、かなり筋腫が大きくても、術者の腕次第では可能です。出産経験者に向いています。
・腹腔鏡を併用した腟式の子宮摘出:子宮の大きさが上記2者の中間の場合
・子宮鏡下に粘膜下の筋腫だけを摘出する手術
・筋腫を核出する手術(挙児希望の場合)